*** Lucyみさおの逃亡日記 ***
Mr.TASAKIのスタンフォード大学訪問報告
西脇尚子のパリ・ペルージャ・ロンドン紀行
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【Lucyみさおの逃亡日記(18)】
=飴と鞭=
DATE:2000.05.29in SanJose
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


昨日の大道芸ですっかり疲れて眠っているところへ、相棒から電話が入る。こんな朝っぱらから何考えてんねん!と受話器に向かって叫んだところ、もう昼前ですよ、との返事。すっかり熟睡していたようだ。けれどまだ身体に疲れが残っている。

「3時にC氏のところに行くんだけど、一緒に行きませんか?」
「今日はええよ。疲れてるし。」
「そういわずに一緒に行きましょうよ。」
「ええっちゅうてんねん。だいたい行ってどないすんねん?何すんねん?仕事関係ないやろ。相手はファミリーやろ。生粋のアメリカンやろ。ごついんやろ!怖いがな。ウチ何も話しもでけへんし、行っても寒いだけやんか。ぼーっとしとけっちゅうんかい!!」

サンノゼ入りして一週間。さすがに英語環境に疲れていた私は、ガキのような難癖をつけて相棒の誘いを拒否していた。心の底から行きたくなかった。もう英語も聞きたくなかった。人にも会いたくなかった。言葉がわからない疎外感、言いたいことが言えないストレスに繊細な私のココロはズタズタになりかけていたのだ。

「いいじゃないですか、黙ってれば。典型的なアメリカンファミリーの姿も見れるし、サンフランシスコ郊外の海も見られます。いいところですよ。それにねえ」
「なんじゃい!」

無責任な相棒の言葉に大阪弁が河内弁に変わりかけた瞬間を見計らって奴は飴を撒き始める。

「C氏の家はね、本物のガレージSOHOなんですよ。ご自身で改装されてね。通信環境は最高ですよ。”DSL”知ってるでしょう?使ったことありますか?すっげー速いですよ。LANカード持って来てますよね。使えますよ。タダで。気さくな人ですから、黙ってそこで仕事してたって何も言いませんよ。溜まってるんじゃないですか?それなりに(^^)」
「うっ」
「それとね、りぶらぶりんくのドメインですけど、そこで取ったんですよ。パーティの合間に思い立ってね。忘れましたか?つまりC氏のガレージオフィスがりぶらぶりんくドットコムのバースデイプレイスって事ですよ。」
「そっそれは」
「でもまあ、行きたくないっていうんなら無理にとは言いません。疲れてるだろうし、明日もスケジュール詰まってますしね。ゆっくり休んで下さい。オレはこれから人と会う予定があるんでケータイは繋がりません。明日また連絡しますから」
「待ってくれ!」
「何ですか?」
「しゃあないなあ。そんなに言うんやったら行ってもええけどなあ。」

当初のあの”何があっても行きたくない!”という思いはどこへやら。このとき、私の頭の中ではDSLとバースデイプレイスの二文字が飛び回っていた。ズタズタのココロ?英語?アメリカ?うわはははは、どこからでもかかってきなさい!そんな思いが受話器ごしに相棒に悟られないようにわざと気のなさそうな返事をする私に相棒はとどめの一発を刺す。

「じゃ2時に迎えに行きますから。ああそうだ、C氏の家には金髪で青い瞳の若い男の子がいるんです。すっげーハンサム。びっくりしますよ。」
「行く!」

すっかり猛獣使いに飼い慣らされた猛獣の気分で受話器を置き、いそいそと支度を始める。PCをバックに仕舞いながら頭の中ではブラッドピットとレオナルドディカプリオがダンスを踊っていた。  
【全然英語が話せない人の為のワンポイントレッスン】

電話を受ける時は

”Hello”(へろう)

相手が何か喋ったら
”Yes”(いえす) or ”No”(のう)

ドアをノックされたら絶対に開けずに
”Yes”(いえす)

相手が何か喋ったら
”Yes”(いえす) or ”No”(のう)

わからなくなったら
”Sorry, I can't speak English”
(そうりい、あいきゃんとすぴいくいんぐりっしゅ)

これで大抵はことたりる。

石谷みさお(いしたにみさお)

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